パッケージ事業部が発足
物流視点で強化段ボール梱包を展開
トランスパック
トランスパック(福岡市東区)は2021年6月、梱包事業部からパッケージ事業部を独立させ、輸送事業部を含む3事業部体制へ移行した。SDGsや3Rを意識した容器・包装の製作に取り組むため、設備環境も整えた。
2006年にサンプルカット機を導入し、強化段ボールを使用した梱包容器の自社製造を開始。2012年には北九州工場(北九州市門司区)を開設し、王子インターパックと「ハイプルエース」のファブリケーター契約を結び、加工機をそろえて強化段ボール製品の製造販売を本格化させた。2020年末、同工場に2200×5000㎜まで加工できるSINACO製マルチカッティングマシン「AS5022F」を導入している。
パッケージ事業部は、基幹工場である北九州工場のほか、2020年8月に移転開設した福岡工場(福岡市東区、松島工場から改称)でも加工を行う。事業部発足の背景について、貝原義信社長は「航空機による輸出需要が伸び、重量によって運賃が決まるエアカーゴで軽量化へのニーズが高まり、強化段ボール梱包を始めた。その後、本社工場では作業が追いつかなくなり専用工場を設け、昨年には事業部として独立させた」と明かす。
製造するのは、メーカーやその関連物流企業といった一般顧客向け段ボール製品と、本社工場で使う梱包用の段ボール部材。ほぼオーダーメイドの受注で、輸送中に動かないように固定する技術などは、木箱梱包で培ってきたノウハウが生かされている。環境配慮の流れからも、最近は大型貨物の強化段ボール梱包に対する引き合いが目立っているという。さらに、貝原健二専務は「釘やボルトで全面を固定する木箱梱包は工数が多く、到着地での開梱や廃材処理に手間がかかり、木材価格の高騰も続いている」と、環境面以外の要因を補足する。
工場間の通い箱に関してもパッケージ事業部に移管し、要望に応じた素材(段ボールやプラダン、樹脂ほか)で箱を作り、海外との通い箱ならば通関手続きも代行、運用面のサポートを含めたシステムごと受注する。こちらは設計・試作まで社内で担い、加工は協力会社に依頼している。
貝原社長は「設計の段階でバンプラン、つまり輸送コンテナに1個でも多く入るような積載効率や、コンテナ内での負荷などを考慮する。海上輸送や航空輸送の物流が分かっているので、それをパッケージに落とし込んで作ることができる。物流と包装の両視点を持っている点が評価されているのでは」と述べている。また、会社全体では木や鉄のほか、さまざまな素材による梱包に対応し、それらを組み合わせることも可能だ。
パッケージ事業部の松山泰則部長は「自社で木枠梱包を行うメーカー様では、人手不足で作業技術の継承が難しくなり、強化段ボール梱包に変えるところも増加している。切り替えにより、これまで木枠の切り出しから3時間かかっていた作業が30分で終わり大変喜ばれた」と述べ、顧客の困りごとへの解決策として提案を進める考えだ。
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